メニューも「日本ワインに合う料理」と明快。日本の食材と調味料をふんだんに使い、カジュアルなフレンチ・イタリアンを主体に、スパニッシュや和食も提供。小皿からボリュームのある肉料理まで、日本ワインと寄り添う多彩なメニューを用意する。そのなかから菅沼さんが提案するマリアージュは、「旬のお魚のフリット」×「ソーヴィニヨン・ブラン2017」。料理は旬の鮮魚をからっと揚げ、ピクルスから手作りした自家製タルタルを添えたもの。ワインはシャトージュン初のソーヴィニヨン・ブランだ。
「日本のソーヴィニヨン・ブランに珍しい、ふくよかで香り高いワイン。グレープフルーツのような爽やかさに加え、山梨県らしく桃のニュアンスも感じます。揚げ物と合わせれば、口のなかをさっぱり流し、柑橘のニュアンスを添えてくれます。うちではフリットにあえて柑橘を加えません。今回のように、柑橘の香りや酸味をワインで足していただく提案です。ワインを飲むことで完成する料理ですね」と菅沼さん。さすが“ワイン食堂”、ワインありきの料理というわけだ。
人気の「大麦牛 らんぷ肉のグリル」に菅沼さんが推すのは「ヤマ・ソーヴィニヨン」。ヤマブドウとカベルネ・ソーヴィニヨンを交配した日本固有の葡萄品種だ。「ワインの酸味が赤身肉と好相性。血のニュアンスを和らげてくれます」(菅沼さん)。
「新宿 葡庵」で現在オンリストしているシャトージュンは5種類(ソーヴィニヨン・ブラン、ヤマ・ソーヴィニヨン、小公子、甲州 樽熟成、ミレーシリーズの甲州)。初リリースのソーヴィニヨン・ブランをはじめ、レアな銘柄がそろうのも“日本ワイン食堂”の矜持(きょうじ)。ふらりと気軽に入ってみれば、そこは日本ワインのさまざまな魅力に出合える場所。軽く1杯でもよし、ディープに堪能するもよし。意外に迷う新宿のワイン酒場。駅にも近い「新宿 葡庵」、知っていて損はない。