FEATURE

マリアージュを楽しむ

第二十四回シャトージュンとマリアージュするひと皿 葡庵 Bu-anの「お魚のメランジェ」×「シャトージュン ミレーシリーズ 無原罪の聖母 白」のマリアージュ

シャトージュン ミレーシリーズ
無原罪の聖母 白
シャトージュンのラインアップのなかでも特徴的な、山梨県立美術館所蔵のミレーの絵画をラベルと商品名に冠したシリーズ。現在発売中の2015年出荷分は山梨県産の甲州を100%使用。果実味と酸味のバランスがよく、尖ったところのないまろやかな口当たりのワイン。和食によく合い、鱈ちりなど鍋物との相性も抜群。シャトージュンのエントリーラインといえる価格帯で、甲州の“入門ワイン”としても最適。
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もしあなたがシャトージュンのワインを飲んだことがないとしたら、まずおすすめしたいのが「ミレーシリーズ」だ。ミレーの絵画をラベルにした存在感たっぷりのシリーズは、いわばシャトージュンのエントリーライン。なかでも「無原罪の聖母 白」は、すっと染み入るやわらかな飲み口で家庭料理との相性もいい。つまり、気取らずデイリーに楽しむためのワインなのだ。今回は、そんなワインが心地よく飲める“普段着の酒場”からマリアージュをお届けする。

あまりにも有名な19世紀の“農民画家”、ジャン=フランソワ・ミレー。「シャトージュン ミレーシリーズ」は彼が画家として名声を得るまでの初期から中期あたりまでの作品をラベルと品名にもつ。赤・白・ロゼそれぞれにリーズナブルな価格帯のワインをそろえているのも特徴だ。シリーズの根底にあるテーマは“生活全般における美”。「ミレーシリーズ」を通してよりアートを身近に感じ、日常のなかでワインをより気軽に楽しんでいただけたら……。そんな願いを込めて、暮らしを豊かに彩るために生まれたシリーズだ。今回「ミレーシリーズ 無原罪の聖母 白」とのマリアージュを提案してくれた「葡庵 Bu-an」は、東京・高円寺の駅からほど近く、昔ながらの商店と新しいショップが立ち並ぶ庚申通り商店街に店を構える。扱うワインはほぼ日本のワイン。飲食業を営んで15年ほどというオーナーの菅沼正樹さんが日本のワインに開眼したのは約7年前だという。「立て続けにうまい甲州のワインと出合ったことと、日本ならではの食品や料理にマッチすることに気づいたのがきっかけです。私見ですが日本のワインは日本の発酵食品に特に合うんですよね。葡庵 Bu-anの料理は洋食、主にフレンチとイタリアンがベースですが、食材と調味料は日本のものをふんだんに使っています。魚介類と野菜は特に国産が多いですね。うちの料理には醤油や味噌、出汁も欠かせません」。シャトージュンがワイナリーを構える山梨県をはじめ、頻繁に国内のワイナリーに足を運ぶという菅沼さん。シャトージュンのワインは「葡庵 Bu-an」がオープンした2012年からオンリストしている。


1 カウンターにずらりと並ぶ日本のワイン。産地や葡萄品種など、フレンドリーなスタッフにどんどん質問してみよう。 2 稀少な日本のワインもたくさん潜む「葡庵 Bu-an」。シャトージュンからも、一般に市販していない山ソーヴィニヨンや小公子を使ったワインが入荷している。ワイナリーの地元でしか飲めないようなワインに出合えるのもこの店の魅力だ。「シャトージュン 山ソーヴィニヨン」(ボトル¥3,230)。「今はまだ少し酸が強い印象ですが、あと1年経つと化けると思いますよ。お楽しみに!(※取材時は2015年12月)」(菅沼さん)

「シャトージュンのいちばんの魅力は“人”。スタッフがみなワインに対して真摯で、誠実で。葡萄の栽培農家さんとの関係も密ですし、そんな“人”の姿勢や“人”同士の関係が魅力をつくり出すワインだと思います。ワインへのひたむきさは味にも現れていて、シャトージュンのワインは非常にストレートに葡萄を表現しています。人為的な香りや味を感じませんし、無駄や雑味がない。それはお付き合いを始めた時からずっと変わらないですね」と語る菅沼さん。今回「無原罪の聖母 白」に合わせたのは訪れた人の大半が注文するという名物の「お魚のメランジェ」だ。鮮魚を活かした料理を4種類程度盛り合わせたメニューで、撮影時の内容はアジのマリネ、真蛸とブロッコリーのヴィネグレットソース、サーモンのマリネ、真鯛のカルパッチョ タプナードソース。仕入れの状況によって魚もソースも変わる。「いま入荷している2015年瓶詰め分の無原罪の聖母 白は葡萄の収穫がピークよりやや早い時期に行われたのではないでしょうか。酸のよい部分がしっかり出ているように思います。香りはレモンやグレープフルーツ、青りんご。柑橘のニュアンスがあって酸の伸びがよいので鮮魚によく合いますね。魚のカルパッチョやフリットにレモンを振るような感覚で、このワインを合わせることで味にメリハリが生まれます。強烈な個性の持ち主というわけではありませんが、料理に“寄りそう”ワイン。決して料理の味を負かしたりしないし、心地よくグラスが進んで飲み飽きません」(菅沼さん)。

なるほど、「無原罪の聖母 白」は4種類の料理を盛り合わせた賑やかな「お魚のメランジェ」にもすっと馴染み、飲み疲れることなくついついグラスが進む。ぜひここではこの気取らないマリアージュを心ゆくまで堪能してほしい。“よりたくさんの人に日本のワインを楽しんでほしい”と、「葡庵 Bu-an」はワインも料理も良心的な価格を心がけているという。「無原罪の聖母 白」をはじめグラスワインは¥400台から、ボトルワインは¥2,000台からそろえている。日替わりのグラスワインは12種類と、飲み比べたりあれこれ迷うのも楽しい。ボトルワインは約140種類が並ぶリストのほか、地下のワインセラーから選ぶことも可能だ。分かりやすくボトルに価格が書かれているのもうれしい。

人気の「鶏レバーのパテ」や「季節野菜とベーコンのキッシュ」といった¥350〜のスターターからメイン料理「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」(¥1,500)まで、料理も菅沼さん曰く“高円寺価格”のオンパレードだ。「ワインも料理もとにかく気軽に楽しんで欲しいんです。日本のワインに馴染みがない方にもまず飲んでみてほしい。3ヶ月に1度ほど、“¥500の会”と称して人気ワインやレアワインもワンコインで楽しめるイベントも開催しています。価格だけではなく、店への入りやすさも同様。高円寺はひとりでふらっといらしてくださる方も多いので、長いカウンターを設けています。ひとりでちょっと一杯というだけでも大歓迎。ここで初めて日本のワインを飲んだというお客さまもたくさんいらっしゃいます。この店をいつでも立ち寄れる“日本のワインの窓口”として活用していただけたら嬉しいですね」(菅沼さん)。

フレンチのキャリアをもつ料理担当の吉田義寛さんが心がけているのは、“やさしい味”。濃すぎず、酸っぱすぎず、少し甘みをもたせた食べ疲れしない味わいを目指しているという。飲み疲れせずやわらかな飲み口のものが多い日本のワインとの相性を考えてのことだ。「料理の味が強すぎると日本のワインの魅力が飛んでしまいます。無原罪の聖母 白のように料理に寄りそうワインが多いからこそ、必然的に“やさしい味”がうちの味なんです」(菅沼さん)。商店街のなかにある「葡庵 Bu-an」は、親しみある手描きのメニューやひときわ目を

5 窓から覗く暖かな雰囲気に足を止める人も多い。仲間とテーブル席でわいわい飲むもよし、カウンターでひとりグラスを傾けるもよし。

引くカウンターとオープンキッチンに誘われてか、道行く人が店を覗き込んでいくことも多い。吉田さんのほか、スタッフも明るく気さくで話しやすい雰囲気だ。高円寺や中央線沿線に住む人やリピーター、ひとりのお客さまが多いというのにも頷ける。そろえているのが料理に寄りそうワインなら、ここもまさに街に寄りそう酒場。いつでも誰でも、日本のワインを楽しみたい人を暖かく迎えてくれる。ワイン、料理のほかに、その場所や過ごす時間がもつ空気や雰囲気もマリアージュの要素と考えるならば、「葡庵 Bu-an」はまさに「ミレーシリーズ」を気取らず楽しむのに最高の場所といえよう。しかも、この場所とこのワインを“入口”に日本のワインへの興味が広がること請け合いといううれしいおまけつきだ。そこから始まるまだ知らぬ新たな世界は、きっとあなたの日常をより豊かに彩ってくれるに違いない。

3 フランス人のお客さまからも大好評だという「鶏レバーのパテ はちみつ添え」(¥350)。「ひとりで6つくらい注文される方もいらっしゃいます。シャトージュンのワインならマスカットベーリーAや山ソーヴィニヨンなどの赤ワインともよく合いますよ」(吉田さん)。バゲット(¥100)と合わせてどうぞ。 4 地下のワインセラーも必見。リクエストすれば誰でも入ることができる。探していたお宝ワインが見つかるかも……?

「葡庵風 お魚のメランジェ」(¥1,400)、
「シャトージュン ミレーシリーズ 無原罪の聖母 白」(グラス¥460、ボトル¥2,540)
  ※記事内の価格はすべて税抜き。

葡庵 Bu-an

東京都・高円寺駅北口を出てすぐの庚申通り商店街沿いにあるアットホームな雰囲気のワインダイニング。ワインはほぼ日本のワイナリーによるものをそろえ、日によって替わるグラスワインは¥400台から12種類、ボトルは¥2,000台から約140種類を用意。多彩な造り手たちのワインが良心的な価格で味わえる。料理は日本の食材と調味料を活かしたフレンチ・イタリアン。長いカウンターも備えており、おひとりさまも大歓迎。肩肘張らず楽しく日本のワインを飲みたい時にぴったりの1軒だ。東京都内に同じく日本のワインが楽しめる「キッチン&ワイン アガリス神楽坂」(飯田橋)、「ワイン食堂・ジョイーレ」(錦糸町)を姉妹店にもつ。

DATA 葡庵 Bu-an
東京都杉並区高円寺北3-23-5 和光ビル1F
電話 03-5373-0141
営業時間 11:30~14:00LO
     (土・日・祝 は14:30LO)、
     17:30~23:00LO
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜休み)
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