南仏のビーチリゾートを店名にもつだけに、魚介類をいかしたメニューが豊富にそろう「サントロペ」。今回は、海老の香り豊かなビスクソースを使ったピッツァ「シュリンプ“マレンゴ”」と、海老と相性がよいシャルドネのマリアージュを紹介したい。
料理で“マレンゴ風”といえば、1800年にナポレオンがイタリアのマレンゴでオーストリア軍に勝利を収めた際、お抱えの料理人がその場にあった食材を集めて即興で作ったとされるメニューを指す。もともとは鶏、トマト、ザリガニなどの煮込みに目玉焼きやクルトンを添えたものだが、「サントロペ」ではトマトと海老で作るビスクソースに温泉卵をのせたピッツァにアレンジ。“フランス人シェフがイタリアの地で作った料理”と“フランスの地名を冠したレストランで提供するイタリアの料理(=ピッツァ)”に共通点を感じて考案したメニューだという。
合わせるワインは、例年より暑く、葡萄の糖度が高くなった2017年ヴィンテージのシャルドネ。樽発酵ののち、約8ヶ月樽熟成した後に瓶詰めしたもの。穏やかな酸味とふくよかな果実味をもつ。
「『シャルドネ2017』は、次々に飲み進めたくなる魅力的なワイン。スモーキーな樽香とバニラやモカを思わせる豊かな余韻を、バランスのとれた果実味が支えます。ワインのエレガントで均整のとれた味わいが濃厚なビスクソースの旨味に潜んだ甘みを引き出し、ナッツのような樽香がチーズの芳醇な香りと卵黄のコクに相乗。ピッツァとワインが一部同調しながら、お互いを補完しあうイメージです」とは、「サントロペ」のワイン担当者。旨味あふれるピッツァがワインと出あってさらに深みをもち、レストランのメインに匹敵する味わいへと昇華する。
単一品種の葡萄を使い、年ごとの違いが明確に現れるシャトージュンのヴィンテージシリーズ。現在「サントロペ」にはこのシリーズから「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「甲州」がそろう。品種と収穫年の個性を余すところなく表現したワインと、レストランとして存在感を増した「サントロペ」。ぜひ両者のマリアージュをじっくり堪能してほしい。