FEATURE

マリアージュを楽しむ

第二十一回シャトージュンとマリアージュするひと皿 横濱ワインバルたわらやの「天然鮑の冷製」×「シャトージュン
          セミヨン2014」のマリアージュ

シャトージュン セミヨン2014 八ヶ岳の麓、山梨県北杜市白洲町にて垣根式で栽培したセミヨンを100%使用した辛口ワイン。樽熟成を基本とし、年によって樽とステンレスでの発酵を併用。2014年は新樽を使い、またじっくり瓶熟成することでリッチな味わいを実現。柑橘、アプリコット、蜂蜜、ハーブなどの複雑な香りと旨みをもつ。中華料理や和食ともマリアージュが楽しめる。
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食べることと飲むことが大好きな山梨県出身のオーナーが営む、地元の食材を活かした“今”食べたい旬の料理と山梨のワインが詰まった「横濱ワインバルたわらや」。山梨甲州のワインがひしめくセラーの一角には、オーナーが飲んですぐに気に入ったというシャトージュンのワインも並んでいる。今秋(2015年)リリースとなったセミヨンにこのバルが合わせる料理とは……? 山梨と神奈川のおいしいものが出合う、幸せなマリアージュが誕生した。

横浜・関内の路地裏に佇むワインバル。さらりとシンプルな暖簾がかかった入り口は小じんまりとしていて、知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど。だが、ひとたび扉を開ければ、山梨産のワイン好きにはたまらない空間が広がる。店主の堀田 東(あずま)さんは山梨県出身。現在もIT関連の会社を経営しているが、食べること、飲むこと好きが高じて2013年にこの「横濱ワインバルたわらや」をオープンした。山梨県に生まれ育ち、ずっと甲州のワインを集めた店を作りたかったというだけあって「たわらや」のワインは100%山梨県産のワイン。しかも、ほぼ甲州市のワイナリーによるものだ。甲州ワインのストックは300本強(※ここでいう「甲州ワイン」は、甲州品種から造ったもののほか、甲州市産の他品種のワインも含む)。常に30種類以上をラインアップしており、グラスワインは週替りで常時6種類以上用意している。飲むことだけではなく、食事は料理ありきという堀田さんは食べることも大好き。料理は甲州ワインとの相性に加え、自分が“今”食べたいメニューを提供しているという。「たわらや」の自慢は食材。地元、佐島漁港から毎日仕入れる旬の魚介類と鎌倉の生産者から直接買い付ける新鮮な野菜がこの店の宝だという。「料理は食材が命。地元で生産者と密に繋がって上質な食材を分けてもらえるのは財産ですね。自分は異業種からの出発なので、魚の捌き方も佐島漁港で教えてもらいました(笑)」(堀田さん/以下同)。


1 鮑の冷製のほか、ぜひ注文すべきなのが「たわらや名物 究極のアジフライ」(¥810)。佐島漁港から仕入れた新鮮なアジを使い、文字通り“究極”を目指して作り上げた名物料理。しっとりふっくらとしたアジをシンプルに岩塩で食べる。シャトージュンのワインでは、セミヨンのみならず甲州、シャルドネとも好相性。 2 「たわらや」にはなんとシャトージュンとコラボレーションした限定 120本のオリジナルワインも!「シャトージュン キュヴェ堀田甲府善光寺」(ボトル¥6,048)。


3 赤ワインのグラスを思わせる家紋風のデザインがユニーク。店内はテーブル席のほか、カウンターが7席。ひとり飲みや貸し切りも大歓迎だ。

毎月のように山梨を訪れる堀田さんは、その度にワインの造り手やワイン関係者と接している。「たわらや」に並ぶワインは自らワイナリーを訪れて、実際に飲んで気に入ったものだけ。シャトージュンとの付き合いも、昨年春にワイナリーを訪れたところから始まった。「初めて試飲したのは甲州とシャルドネ。一発で気に入りましたね。ぐいぐい主張するタイプではなく、料理を引き立ててくれるのがシャトージュンのワイン。汎用性があってさまざまな料理に合わせやすい。食材ありき、料理ありきで、旬のうまいものを楽しんでほしいという気持ちが第一にあるうちにとって、非常に魅力的なワインです」。そんな彼が新ヴィンテージのセミヨンに合わせたのは、天然鮑の冷製。佐島漁港の鮑を甲州の名物料理・鮑の煮貝の技法を活かして調理したもの。「たわらや」が山梨と神奈川の味覚が集まる場所であるように、ふたつの土地の恵みがひと皿に凝縮されたオリジナルメニューだ。

「当日の朝に佐島漁港から仕入れた鮑をまるごと1個、生きたまま使います。地元の新鮮な食材をワインと楽しんでいただこうと生まれたのが鮑の冷製。鮑の刺身は磯の香りが強く、ワインと合わせづらいもの。そこで、甲州の名物料理、鮑の煮貝にヒントを得て、甘じょっぱく仕上げました。肝の旨みがたっぷり味わえるのもポイントです。甘みと旨みを備えたセミヨンと合わせると、複雑で個性のある味わい同士の対比を楽しんでいただけるのではないでしょうか。しっかり甘みが感じられる一方でキレもあるシャトージュンのセミヨン2014は、鮑の甘みや旨みとマッチしながら魚介特有の臭みをさっと流してくれます」。堀田さん曰く、セミヨンは甲州とシャルドネの間にすすめたい品種だという。繊細ですっきりした甲州と酸がしっかりしたシャルドネを繋ぎ、料理もさっぱりした前菜とパンチの効いたメインの間に合わせたいワインというわけだ。旨みのある鮑料理なら、新樽熟成でリッチに仕上がった「シャトージュン セミヨン2014」との相性も間違いないだろう。「樽の効き方が強いワインは料理の味に勝ってしまうことがありますが、このセミヨンは料理を引き立てる程よい樽香が魅力です」。

「シャトージュンの醸造責任者である仁林さんをはじめ、山梨でワインの造り手と触れ合うたび、志や熱意をもって生まれたワインたちをより広く伝えたいという気持ちになります。店頭でただ提供するだけではなく、造り手の顔が見えるワインの生い立ちやこだわりをお客さまにしっかりお伝えすることができるのが喜びですね。これからも、山梨の造り手たちとお客さまを繋ぐ存在であり続けたいと思っています」。

4 店主の堀田 東さん。食べることと飲むことが大好きで、メニューは旬に合わせて堀田さんが考案し、フレンチ出身のシェフが腕を振るう。5 山梨からワインの造り手が来店することも多い。

「たわらや」は、山梨のワインと店を訪れる人を繋ぐ場所であり、山梨のワインと地元の食材が出合う場所である。ここで甲州ワインに魅せられる人も多いという。関内の路地裏に佇むワインバルのドアは、あなたがまだ知らない山梨のワインの魅力や、地元の食材とのマリアージュを教えてくれる扉でもある。すでに甲州ワインのファンという方も、その品ぞろえと堀田さんの豊富な知識に驚くことだろう。まずは鮑とシャトージュンのセミヨンから一杯、奥深く楽しき甲州ワインの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろう。

「佐島漁港 天然あわびの冷製-甲州名物あわびの煮貝トリビュート-」
(時価/参考価格で、本日は約300gで¥5,000程度。前日までに要予約)、
「シャトージュン セミヨン2014」(グラス¥756、ボトル¥5,400) 
※記事内の価格はすべて税込。

横濱ワインバルたわらや

神奈川県横浜市の関内駅から徒歩3〜4分。路地裏にひっそりと佇む、山梨のワインが豊富に並ぶワインバル。山梨のなかでも特に甲州産のワインを多くそろえており、常時グラス/ボトル共に充実のラインアップが楽しめる。料理は“地産地消”と“産地直送”を掲げ、漁港から直接仕入れる三浦半島の地魚と、鎌倉の生産者から買い付けた野菜をふんだんに使用。メニューは食材によって日々変わり、その時期にいちばんおいしい旬の食材を活かした料理が味わえる。店内には落ち着けるテーブル席とカウンターの全19席を用意。

DATA 横濱ワインバルたわらや
神奈川県横浜市中区相生町2-50
電話 045-222-7811
営業時間 18:00~23:30(23:00LO)
定休日 日曜
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