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マリアージュを楽しむ

第二十一回シャトージュンとマリアージュするひと皿 アーヴィングプレイスの「本日のセビーチェ」×「シャトージュン甲州2014」のマリアージュ

シャトージュン 甲州2014 シャトージュンの看板キュヴェ。時期を見極めて収穫した甲州をステンレスタンクで低温発酵させ、葡萄の果実味を反映させた中口タイプ。洋梨、花梨、柑橘類の穏やかな香りとほんのりした甘み、それを支える酸味をもつ奥行きのある味わい。2014年は2012年以前を思わせる華やかな仕上がり。山梨県産甲州使用。
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この春に発売がスタートした甲州の新ヴィンテージ、2014年。しっかりした葡萄の果実味と飲み飽きないほんのりした甘みはそのままに、昨年とはまた異なる魅力を備えた仕上がりとなった。今回は、“都会のリゾート”で味わう爽やかなスターターとシャトージュンの看板キュヴェである甲州とのマリアージュをお届けする。

都心にあって、東京からエスケープしてきたかのようなひとときが過ごせる場所「アーヴィングプレイス」。このカフェ&レストランが位置するのは東京・白金台のプラチナ通り沿いにある「ビオトープ」の最上階。“生き物の、ありのままの生態系が保たれた空間”という環境用語を店名にもつ「ビオトープ」は、ファッション、ナチュラルコスメ、生活雑貨など、世界中から集めたアイテムを揃えるほか、植物のある暮らしを提案するボタニカルショップを併設する複合型ショップ。ツリーハウスを備えた大きな樫の木を中庭にもち、ショップのあちこちに緑があしらわれた、ヒト、モノ、植物が心地よく“共生”するショップだ。その最上階で緑と空、太陽の光を感じながら食事と酒を楽しめるのが「アーヴィングプレイス」。刻々と変わる光、風に揺れる木々の音……。プロデュースを手がけた山本宇一氏も“東京からエスケープしてきたリゾートのようなロマンティックな場所”と語る、自然のさまざまな表情を感じられる場所である。このうえなく居心地のよい空間とおいしい食事、そして飲み飽きないワイン。今回は、そんな“都会のリゾート”ならではのマリアージュをご紹介しよう。


「アーヴィングプレイス」のスペシャリテ、ファヒータ。肉料理をトルティーヤで食べるテクス・メクス料理の定番で、肉料理は炭火焼きのグリルチキンとビーフステーキの2種類から選べる。写真のチキンは¥1,300。サワークリームと自家製のワカモレ&サルサつき(1)。ワイン以外の酒類も豊富。いろいろな酒を飲み比べるのも楽しい(2)。


ゆったりしたソファや風が気持ちのよいテラス席など、人数や気分に合わせてチョイスできるのがうれしい (3)。

「アーヴィングプレイス」で味わえるのは、アメリカ、特にNYをベースにメキシカンな要素をミックスしたテクス・メクス料理。香り豊かなスパイスやハーブと色とりどりの野菜をたっぷり使った、視覚にも嗅覚にも“ごちそう”なメニューが揃う。店長の甘利ゆみさんが「シャトージュン 甲州2014」に合わせたのは「本日のセビーチェ」。ペルーやメキシコを中心に南米で日常的に食べられている魚介類のマリネがセビーチェ。軽く茹でた魚介に玉ねぎやトマトを加え、柑橘類とハーブで味付けする料理だ。魚介は日や週によって変わるが、本日は水タコを使用。「アーヴィングプレイス」ではライムジュースとはちみつ、塩でごくシンプルに味付けしている。

「シャトージュンの甲州は、うちのどの料理とも相性がいいですね。飲み口は軽快ながらしっかり旨みがあり、男女や年齢を問わず飲みやすい。お客さまにおすすめすると、最初は“日本のワインってどんな感じなの……?”という反応をされることも多いですが、一度飲まれると気に入って2杯、3杯とグラスが進み、次にいらっしゃった時にリピートいただくことが多いです。果実本来の甘みをもちながら、後味がすっきりしているのも特徴。この甘みにセビーチェの酸味や柑橘の風味を合わせてみたくなったんです」(甘利さん)。

前菜として食事のスターターに、また酒のつまみとして注文するゲストが多いというセビーチェ。オレンジの甘みとライムジュースのきりっとした酸味が、昨年と比べてよりまろやかでバランスのよい仕上がりになった甲州と抜群の相性を見せる。「ワインの甘みがほんのりとしていて軽やかなものだからこそ、前菜として楽しんでいただくのに非常に相性のよい組み合わせになっているのだと思います。ドライなだけでは飲み疲れてしまいますが、ほんの少し甘みを残して旨みもあるこの甲州は飲み飽きない。すっきりとした後口ながら穏やかに余韻が続くので、次の料理への流れもスムーズ。食欲も “ワイン欲” も促進してくれるパーフェクトなマリアージュですね(笑)」(甘利さん)。

窓の外に見えるのはツリーハウス。自由に入ることができる(4)。
天井が高く、日の光がたっぷり入り込む気持ちのよいスペース(5)。青々と爽やかな緑が覗く(6)。

すっきり辛口に仕上げる甲州が多いなか、ドライに振り切らず少し甘みを残すのがシャトージュンの特徴。果実味と酸味のバランスがよく、香りが豊かで甘みのある華やかな味わいが楽しめると同時に飲み疲れしないワインでもある。都会にありながらその喧騒とはほど遠い、自然との距離が近く豊かな時間が流れる「アーヴィングプレイス」。料理×ワインの組み合わせと同様に、ずっと飲み続けたくなる“ストレスフリー”なワインと居心地のよい空間のマリアージュをここで楽しんでみてはいかがだろう。

「本日のセビーチェ」(¥ 800)、「シャトージュン 甲州2014」
(グラス¥700、ボトル¥4,000) ※記事内の価格はすべて税込。

アーヴィングプレイス

ファッションからナチュラルコスメ、生活雑貨、ボタニカルまで、暮らしを豊かにするアイテムを幅広く扱う複合型ショップ「ビオトープ」。その最上階に位置するカフェ&レストランが「アーヴィングプレイス」。高い天井から陽の光が降り注ぎ、窓の外にはショップ中庭の樫の木に作られたツリーハウスが覗く。光と緑に包まれた居心地のよい空間に、ゲストが思い思いに寛げるソファやテラス席などを備えた“都会のリゾート”。スペシャリテのファヒータをはじめ、アメリカとメキシコをミックスしたテクス・メクス料理とさまざまな酒が楽しめる。

DATA アーヴィングプレイス
2018年9月30日を持ちまして閉店いたしました。