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マリアージュを楽しむ

第十八回シャトージュンとマリアージュするひと皿 「常夜鍋」× シャトージュン 甲州 2012 樽熟成 のマリアージュ

シャトージュン 甲州2012 樽熟成 シャトージュンの看板キュヴェである甲州を新樽で熟成させたワイン。樽を使った甲州は、ワイナリーとして初めての試みとなる。甘さがほんのり感じられる通常の甲州と異なり、ドライな辛口スタイル。甲州のすっきりした持ち味に樽の風味が加わり、味わい深い仕上がりに。4樽と数が限られているため、既に市販は終了。

前回の「ジュンクラシックカントリークラブ」に続き、姉妹コースの「ロペ倶楽部」からゴルフとワインのある豊かな時間をご提案したい。今回お届けするのは、4樽限定の希少な甲州と地元の食材の組み合わせ。樽香をまとった甲州と繊細でとろけるような地豚が織り成す、ここでしか出合えないマリアージュだ。

栃木県宇都宮市の北に位置する「ロペ倶楽部」は、「ジュンクラシックカントリークラブ」の姉妹コースとして誕生したゴルフ場。なだらかな丘陵地に広がる開放感あふれるコースと美しい景観に加え、天然温泉の露天風呂とクラブハウスやレストランなど和洋の文化を取り入れた施設の充実度でも知られている。今回のマリアージュをお届けするのは、内装に歌舞伎の雰囲気を取り入れ、和の"粋"と華やかさをもつ「和風レストラン」。気軽なおつまみから鍋物まで地元の食材をふんだんに取り入れた豊富なメニューが味わえる食事処だ。

こちらで冬になると登場する人気料理が「常夜鍋」。地元・栃木県を代表するブランド豚、あさのポークの希少なロース肉を主役に、新鮮な地場野菜をたっぷり食すヘルシーな鍋だ。とろけるような豚肉を野菜とともにいただくさっぱりした鍋は、「常夜鍋」という名のとおり、毎夜食べてももたれず飽きがこない。仰々しい主張がなく、すっと染み込むような味わいはシャトージュンの甲州にも共通した点といえよう。地元の食材を大切にしたいという福田 巌料理長は、できるだけ生産者と直接やりとりをしているという。「2日に1度は自分で農家さんに野菜を受け取りに行っています」(福田料理長)。現在「常夜鍋」の野菜はほうれん草のみだが(時期によってはちぢみほうれん草に)、当初は寄せ鍋のようにさまざまな食材を並べていたという。「あさのポークも地元の新鮮なほうれん草も、そのもの自体が優れた食材。ゴタゴタと味を重ねたり増やしたりせず、シンプルに食材そのものの味を楽しんでいただきたいと思っています」(福田料理長)。野菜もいろいろと試したのち、あさのポークの味を邪魔せず引き立てるほうれん草に決定したそうだ。


歌舞伎の雰囲気を取り入れた「和風レストラン」。広いフロアのほか、個室やゴルフ場を望むテラス席も。居酒屋メニューから宇都宮餃子、栃木の魚・やしお鱒の西京焼きや栃木ブランド・あさのポークの生姜焼きやメンチカツといったご当地ならではの料理まで、多彩な味が楽しめる。

なだらかに開けた土地に和風のクラブハウスやサンタフェ調のテラスレストラン(写真下)など和洋の施設が点在。建物内の調度品ひとつひとつに至るまでこだわりが反映され、異文化が融合した上質な空間に時を忘れる。リゾートゴルフの名所として女性にも人気が高い。

「この鍋の命は何といっても肉。あさのポークはしつこさやクセがなく脂にほのかな甘みをもつ、さっぱりとした豚肉です。このシンプルで繊細な味を活かすため、肉にもほうれん草にも余計な香りや味をつけません。素材そのものを楽しんでいただきたいのです。ワインも然り。過剰な香りや味をもつタイプではなく、鍋を引き立てるすっきりしたものがマッチします」と福田料理長。もちろん、「和風レストラン」でもシャトージュンのワインを多くオンリストしている。「シャトージュンのワインは白・赤共に飲みやすく、料理と合わせやすいですね。常夜鍋に合わせるなら甲州 樽熟成。シャトージュンの甲州は柑橘味があって夏らしいイメージがありますが、樽香があるので温かい料理とも好相性。また、あさのポークがあっさりとした味わいであることも、赤ワインではなく甲州を挙げる理由です」(福田料理長)

きめ細かい肉質と甘みのある脂身があさのポークの特徴。冷凍ではなく生の状態で仕入れるため、その魅力が存分に楽しめる極薄切りが実現する(写真上)。レストランで人気No.1の「豆腐の明太ソース焼き」(¥540/写真下)。冬は昔ながらの製法で作られた栃木発の平家清盛もめん豆腐を使った「湯豆腐」(¥500)もおすすめ。

「和風レストラン」の奥に位置するワインハウス「サッチモ」。中世のヨーロッパや南仏の雰囲気を取り入れたスペースでシャトージュンのワインはもちろん、各国の酒類やオリジナルの宇都宮カクテルなどが味わえる。

極薄切りの生ハムのように透き通った、うすピンクの豚肉。昆布出汁と酒を煮立たせた鍋で白くなるまでくぐらせ、まずはそのほのかな甘みとさらっとした口どけを楽しむ。何度か繰り返し、豚の出汁が出てからほうれん草を食べるのがおすすめだ。新鮮な野菜の食感と味を活かすため、茹で過ぎないこともポイント。繊細な豚肉とほうれん草の味わいに寄り添うのが「甲州 樽熟成」。
すっきりとしながら、穏やかでじんわり心地よい飲み口と余韻。温かい鍋物に樽の香りがうまく相乗する。4樽限定で醸造し、もともと希少な「甲州 樽熟成」は、いよいよごくわずか。飲食店で楽しめるのは「ロペ倶楽部」だけといってもいい。冬だけ登場する常夜鍋と、残りわずかなワイン。ここでしか、そして今しか出合えないマリアージュである。至るところに和洋の意匠を凝らした施設内でゴルフとリゾートの趣を楽しんだ後は、地の食材を堪能する鍋と身体に染み入るようなワインで心ゆくまでリラックス。「ロペ倶楽部」での"ゴルフとワインのある時間"、それは気取ったものでもやみくもに贅沢なものでもない。食にしろ空間にしろ、この土地ならではの出合いを味わうただただ豊かな時間を指す。その時間を彩るのが、2012年の甲州がもたらしてくれる希少な恵みだ。ぜひ、気心の知れた仲間たちと温かく満ち足りたひとときを。

例年10月半ばあたりから登場する冬の期間限定メニュー「常夜鍋」(2人前¥3,200)、「シャトージュン 甲州2012 樽熟成」 (ボトル¥4,320)※記事内の価格はすべて税込。

ロペ倶楽部

「ジュンクラシックカントリークラブ」の姉妹コースとして1990年に誕生した「ロペ倶楽部」。伝説のゴルフプレイヤー、ジーン・サラゼンがコース設計を監修。なだらかで開放感ある18ホールは、その日の芝などのコンディションによってコースをレイアウトできる自由な着想のもとに設計されている。天然温泉を備えた宿泊施設をはじめ、和洋の異文化を取り入れた設備に定評があり、女性からの人気も高い。「和風レストラン」と「テラスレストラン」の2店舗のほか、ワインハウス「サッチモ」でフードとドリンクを提供。

DATA ロペ倶楽部
栃木県塩谷郡塩谷町大久保1859-1
電話 0287-46-1122(代)
営業時間 6:45~23:00 LO
定休日 月曜(4月〜11月は定休日のセルフ営業あり)
http://www.ropeclub.com/