世界ではじめての野菜スイーツ専門店として人気の「ポタジエ」があらたに展開した野菜寿し専門店「野菜寿し ポタジエ」。オーナーシェフである柿沢安耶さんからこの店を任される小野喬さんは、はじめて[シャトージュン セミヨン2006]をテイスティングしたとき、そのキャラメル香や柑橘あるいは蜂蜜、木の花のニュアンスを持つ柔らかな印象にほれたといいます。
シャトージュンのセミヨンが育つのは、八ヶ岳の麓、山梨県北杜市白州町。ヨーロッパでは、極甘口ワインの最高峰とよばれる、ボルドー・ソーテルヌのシャトーディケムに代表される貴腐ワインを生み出すブドウ品種として知られる、セミヨン。現代では、辛口セミヨンといえば、そのシャトーディケムの辛口であるイグレック・ド・イケムなどに見られる程度ですが、100%セミヨンとなると非常に珍しいものです。
今回ご紹介する[シャトージュン セミヨン2006]は、ホーロータンクによって醗酵管理を行ってから樽に移して熟成させた樽熟成タイプです。比較的酸味に乏しいといわれるセミヨンでありながら、しっかりした酸味が得られたのは、高い標高で栽培されることで夜間の温度が低く、ブドウの成熟に適した環境で酸が豊富に残っているから。熟成が進むにつれてセミヨンの特徴であるナッツ系統の香りに樽由来のスモーキーさが調和するように、新樽を使用することでやや強めに樽香を付けています。
その[シャトージュン セミヨン2006]とマリアージュするのは、野菜寿しのなかでも人気の定番メニューの数かず。ウニのような見た目はニンジンのお寿司。これはニンジンをじっくりと弱火でいためて、生クリームと煮込み、ペーストにしたもの。ウニに見立てただけでなく、濃厚な生クリームによって、味わいもウニに近いものが。ひと口ワインを口に含むと、穏やかな酸が口の中を爽やかにします。エリンギのお寿司はホタテに見立てたもの。バターソテーした、エリンギを白ワインと醤油で絡め、照りが出るように焼いたものです。千住葱は、鉄板にゴマ油を引き、香ばしく焼き上げたもの。仕上げにゴマ風味のソースをくわえます。ごぼうは水と梅で10時間以上煮込んだもの。見た目はごぼうのままですが、長時間煮込むことで予想がつかない食感が楽しめます。ポタジエ自慢のトマトは湯剥きし、くし型にして中をくり貫き、くり貫いた中身をベースとしたソースとモッツァレラをあわせたもの。カプレーゼのお寿司と言ったところでしょうか?
野菜寿し ポタジエ
日本全国から選りすぐった"旬"の野菜を握るというコンセプトのもとオープン。いつもは料理の脇役となってしまいがちな野菜を主役として扱うために「寿司」というスタイルで展開。野菜ばかりのお寿司は常時16~17種類。そのうち定番は7~8種類というラインナップ。野菜のあたらしい食べ方の提案であると同時に日本の農業の問題も意識したお店です。寿司というスタイルをとることで、お米と野菜の美味しさを再発見できる野菜寿し専門店です。
「野菜寿し ポタジエ」でチーフを任される小野喬さん。大学卒業後、横浜のレストランでフランス料理を学び、その後2006年に中目黒「ポタジエ」のオープン時からスタッフとして携わる。料理人としての経験から料理の考えをスイーツ作りに取り入れ、スイーツにあたらしい世界観を提案する。2011年1月の「野菜寿し ポタジエ」のオープンと同時に店舗チーフとして就任。通常のすし職人修業では決して出てこないようなアイデアは「ポタジエ」でのケーキ作りで培ったものだという。
DATA
野菜寿し ポタジエ
閉店いたしました。
けやき坂通り沿い、ルイ ヴィトンをはじめ、世界の一流ブランドがならぶ通りの逆サイド。テレビ朝日などと同じ建物の1階にある。