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マリアージュを楽しむ

第八回シャトージュンとマリアージュするひと皿 ◯郷 TOKYO の「◯郷厳選 漬物盛り合わせ」×「シャトージュン ジャパン セレクト デラウエア 白」のマリアージュ

シャトージュン ジャパン セレクト
デラウエア 白
2016年4月にリリースばかりの、日本固有の葡萄品種を打ち出した「シャトージュン ジャパン セレクト」シリーズの白ワイン。山梨県産のデラウエアを100%使用。生食用としても人気が高いデラウエアは甘口に仕上げられることも多いが、こちらは辛口。トロピカルフルーツを感じさせるフレッシュな香りをもち、酸味と甘さのバランスがよく、飾り気のないシンプルな味わい。どんな料理とも合わせやすい、カジュアルなワイン。購入しやすい価格にも注目。

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ワインと漬物。一見唐突な組み合わせに思えるが、「◯郷(マルゴー) TOKYO」のカウンターで話を聞けば聞くほど、日本のワインと日本古来の伝統食である漬物は最高のマリアージュではないかという気になってくる。すすめにしたがってグラスワインと漬物を合わせてみれば、“百聞は一見にしかず”ならぬ“一献にしかず”。今回は「日本のワイン×漬物が新しいスタンダード」と力強く断言する「◯郷 TOKYO」から、意外性がありながらどこか懐かしい、日本のワインならではのマリアージュをお届けする。

表参道駅から徒歩7分。大通りからは想像できない周りの静けさといい、2階建ての古民家をモダンにリノベーションした佇まいといい、「裏参道ガーデン」は一見からしてユニークな存在感を放つ商業施設だ。“日本文化の体験”というコンセプトのもと施設内にスペースを構えるのは全8店。日本茶、日本酒、お香、文房具……いずれも日本伝統のモノ・コトに新しい視点や価値をプラスして提案する店舗である。日本のワインと焼酎に特化し、“日本ワインの新常識を提案します”と謳う「◯郷 TOKYO」も然り。新常識の核に据えるのが、日本ならではの発酵食品である漬物だ。全8席のカウンターに立つのは、マネージャーの多田賢史さん。飲食業界に入って10年以上、イタリアンから焼き肉、カフェ、NYを代表するパンケーキ店などさまざまな業態の立ち上げに携わってきたキャリアをもつ。「日本のワインは上品で非常に繊細。力強い味をもつ料理に合わせると存在感が押されてしまうことも多く、どんな食べ物と合わせるのがベストなのかをずっと考えていました。ワインが発酵の産物なので、日本ならではの発酵食品がマッチするのではと考えていたとき、知人の居酒屋で白菜の浅漬けをつまみに甲州を飲んで“これだ!”と相性のよさを確信しました。それからは漬物を買い漁ってひたすら日本のワインとの相性を試す日々でしたね(笑)」(多田さん)。四季をもつこの国で生まれ、発酵という共通項をもつワインと漬物。唐突なようで、そう思えば頷ける組み合わせだ。それでは、早速シャトージュンのワインと漬物のマリアージュを教えていただこう。

1 気さくで物腰柔らかなマネージャーの多田賢史さん。日本のワインについての知識も豊富なので、ぜひ漬物との相性についていろいろと質問してみよう。
2 フードのメニューは漬物のほか6~7種類。内容は随時変わるが、2種類の醤油、シナモン、八角でワインに合う味付けに仕上げた「◯郷特製 味付き卵」(¥200)は定番的存在。「泡、白、赤と幅広いワインにマッチします」(多田さん)。そのほか、〆にはぜひ「あっさりお茶漬け」(¥800)を。同じく「裏参道ガーデン」に店舗を構える茶の老舗「宇治園」のお茶を使用したメニューだ。

「◯郷 TOKYO」のグラスワインは、日によって変動するが約30~40種類。1杯¥700からと手頃で、選ぶ楽しみが広がるラインアップと価格設定だ。産地も北から南までまんべんなくさまざま。多田さんがワインをセレクトする基準は、味(漬物とのマリアージュがぱっと浮かぶかどうか)、品種やブレンドの個性、エチケットのデザインの3点だという。そんななか、シャトージュンは「◯郷 TOKYO」のオープン時から4銘柄がオンリストされている。「シャトージュンのワインはとにかくきれいな仕上がり。上品で香りも味わいもやさしく、穏やかでバランスよくまとまりのある印象。総じて良心的な価格なのもうれしいですね。なかでも今回漬物に合わせたデラウエアはことさらきれい。現在扱っているデラウエアのワインは5種類ほどありますが、無濾過だったり、果実味や酸味が強かったりとそれぞれに個性があります。そのなかでシャトージュンのデラウエアはいい意味でやりすぎていないところが魅力。日本のワインを普段飲まない方にもおすすめしやすいワインです。温度が上がるとより華やかな印象になるのも素敵ですね」(多田さん)。

4 「裏参道ガーデン」は横丁スタイル。施設の内外に共用スペースがあり、イベントなどに利用されているほか、各店舗のメニューを好きな場所で楽しむことができる。
5 1階に5店舗、2階に3店舗。ドリンクとフードのメニューはほかの店舗に持ち込むことも可能で、「◯郷 TOKYO」のワインを施設内の日本酒とビストロ和食の店「ゴカク」のつまみに合わせるなんてこともできる。

3 デラウエアのほかに現在(2016年7月)「◯郷 TOKYO」にオンリストされている「シャトージュン」のワインたち。左から「ミレーシリーズ 無原罪の聖母 白」、「ジャパン セレクト 巨峰&ピオーネ ロゼ」、「ジャパン セレクト マスカット ベーリー A 赤」(グラス各¥700)。「巨峰&ピオーネには酸のあるらっきょうや奈良漬、マスカット ベーリー Aには蕪の甘みが感じられる千枚漬が好相性。ワインを合わせることで全体の味が変化して、新しい味わいが生まれます。全ての日本のワインについて、合わせた時にこれまでにない新しい味に出合えるマリアージュを探すのが自分の壮大な夢です(笑)」(多田さん)。

「◯郷 TOKYO」に来たら何と言ってもまずオーダーすべき名物メニューが「◯郷厳選 漬物盛り合わせ」。自家製のぬか漬けを中心に、季節の漬物を9~10種類ほどプレートに盛り合わせて提供している。沢庵や奈良漬といった定番から、南瓜やゴーヤといった変わり種までが並ぶなかから、多田さんが「シャトージュン ジャパン セレクト デラウエア」に推すのは杓子菜。「うちは浅漬けが多いのですが、この杓子菜はしっかり漬かっているタイプ。酸が立っていて、旨味も甘みもしっかり感じられます。酸味と甘みのバランスがよいデラウエアと非常に好相性なんです。そのほか、ザーサイもよく合いますね。旨味がありつつ全体の印象が軽やかで、ぜひ最初のスターターに楽しんでいただきたいマリアージュです。盛り合わせはおおまかにプレートの左から右にかけて徐々に濃い味わいになるように並べています。ワインも漬物とともに白から赤に飲み進めていただくと合わせやすいかと思いますが、あまり気にしすぎず、ぜひ実際にワインと漬物の相性やご自身の好みをいろいろと試してみてください」(多田さん)。その日のグラスワインから好きな3種が選べるお得な飲み比べセット(¥1,500)もあるので、自分だけのベストな“漬物マリアージュ”を探すのもおもしろい。

月2回のペースと積極的にイベントを開催しているのも「◯郷 TOKYO」の特徴だ。「これまでですと長野や九州など、主に地域にフォーカスしたイベントを開催しています。日本ではほぼ全国でワインが造られていますので、日本の各地を旅するような感覚でイベントを楽しんでいただけたらと思っています」(多田さん)。通常営業でも手頃な価格でグラスワインを提供している「◯郷 TOKYO」だが、イベントでは例えば10杯のワインに漬物セットで¥3,000など、さらにお得感が増す。日本ワインの人気が上昇し、高価格だったり希少で手に入らない銘柄も増えている現在、飲み手にとってありがたい、より間口を広げてくれる取り組みだ。多田さんは休日に各地のワイナリーまで足を運ぶことも多いという。「できるだけ実際に造り手の皆さんにお会いして、その生の言葉ごとお客様にワインの魅力をお伝えしたいと思っています。伝えるといえば、裏参道ガーデンには海外からも多くの方が訪れます。日本人のお客様に日本のワインと漬物を新たなスタンダードとしてご提案すると同時に、外国人のお客様にももっと日本のワインを知っていただき、日本のワインの存在感を世界まで広げていけるように努めたいです」という多田さん。裏参道から発信される、日本人にとって意外性と親しみを併せもつマリアージュは、日本のワインの新しい魅力を教えてくれる。ワインと漬物。もしかしたらこれが日本のワインの“常識”になる日も遠くないかもしれない。

「◯郷厳選 漬物盛り合わせ」(¥600)、「シャトージュン ジャパン セレクト デラウエア 白」(グラス¥700) ※記事内の価格はすべて税込み。

シャトージュンが楽しめる店 ◯郷 TOKYO

2016年春にオープンした話題の商業施設「裏参道ガーデン」。2階建ての古民家をリノベーションしたスペースには“五感で楽しむ古き良き日本”を掲げ、日本文化の体験をコンセプトにした全8店舗が集まる。建物1階の一角に店舗を構えるのが表参道唯一の日本ワイン専門バー「◯郷(マルゴー) TOKYO」。日本のワインと発酵食品の相性を探り、特に漬物とのマリアージュを提案する。約30~40種類と豊富にそろったグラスワインが¥700から楽しめるのも魅力だ。カウンターがメインだが「裏参道ガーデン」の共用スペースで飲むこともできる。カウンター全8席。チャージなし。

DATA ◯郷 TOKYO
2016年を持ちまして閉店いたしました。