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クリエーターが切り取る、シャトージュンのある風景

ワインのうんちくを語るのは愛好家にとっては幸せな時間かもしれません。けれど、もっと幸せなのはワインを飲む時間。気のおけない仲間と、あるいは仕事で意気投合した人たちと、はたまたパーティで、人と人との距離をより一層近付けてくれるのがワインです。では、注目のクリエーターたちは、どこでどんな風に誰とワインを飲んでいるのでしょう?ワインのあるひと時を彼ら自らの手で切り取っていただきました。クリエーターのみなさんは、シャトージュンをどう楽しんでいるのでしょうか?

第三回DJ/プロデューサー・田中知之さんが切り取った、シャトージュンのある一週間

DJ、プロデューサーとして国内外で幅広く活躍中の田中知之(FPM)さん。ある時は'50年代にプレスされたレコードでジャズを聴きながら、ある時はミニマルテクノを爆音で聴きながら…。田中さんならではの、音楽と共に過ごすシャトージュンとの一週間を公開。

田中知之(FPM)
:DJ/プロデューサー。7枚のオリジナルアルバムのリリースの他、数々の人気アーティストのプロデュースやリミックスを手掛け、更には数々のCM音楽を担当している。DJとしては国内 は全都道府県制覇、海外では約50都市でのプレイ実績を持つなど多方面で活躍中。
http://www.fpmnet.com/

最近の僕の愉しみが、1950年代のビンテージのモノラルオーディオで同じく1950年代のジャズのオリジナルプレスのレコードを聴くこと。単にノスタルジックな意味でいい音なんでしょ?と、モノラルのオーディオのことを勘違いされてしまいがちですが、オーディオでのレコード芸術~音源再生において、歴史的な到達点が1950年代末頃に訪れていたのだと僕は断言します。
今日は、大好きな『チェット・ベイカー・シングス』というレコードを聴きながら、"メルロ"2009年の赤を頂いております。

基本、ジャズのモノラルのレコードに関して言えば、ちゃんとした当時の再生装置がある場合、オリジナルプレスのものが最高に良い音がするはずなのですが、この『チェット・ベイカー・シングス』に限って言えば、1950年代のオリジナルプレスよりも、1980年代末にリリースされた編集盤の方が良い音がするのです。

何年かぶりで、大型の台風が6月の日本列島を縦断した日。月見酒ならぬ台風見酒と洒落込んでみました。スタジオのベランダに持ち出したのは"セミヨン"2010年。キリリと冷えたボトルが台風による湿気で瞬く間に汗をかきます。写真はまだ風雨が強まる前です。台風直撃中は危なっかしくて外になんて出られませんでしたので、室内に避難しつつボトルを空けさせていただきました。

やめよう、やめようと思いながらもなかなかやめられないタバコ。美味い酒とのマリアージュは喫煙者にしかわからない幸せだと断言しましょう(笑)。勿論、非喫煙者の方には決してオススメしませんが…。かのセルジュ・ゲンスブールはタバコのことを「緩やかな自殺」と称したのは有名な話。
話は変わりますが、6月の最終週はロスに飛びます。残念なことに全面禁煙の機内ではタバコとのマリアージュは楽しめないので、日頃の寝不足を解消する為にたっぷりと睡眠を取ろうと思います。

ひょんなことから、i-depのナカムラヒロシ君(写真中央)と、若手のBootyBronx君(写真左)と3人でとあるリミックスを手がけることになり、そのミーティング。

といいながら、もう夜も更けてきたので"甲州"2011年の白を堪能しながらのミーティングにかこつけた素敵な酒宴のスタート。JALのエグゼクティブクラスにチョイスされるのも頷ける抜群のパフォーマンスはやっぱり伊達じゃない。必ずや素晴らしいトラックが仕上がるという予感すらしてきました。

最近犬を飼い始めました。犬種はミニチュア・シュナウザーで、名前はロペオといいます(ロペというチャンピオン犬の息子だからこの名前なのです)。まだ生後9ヵ月の子供ですが、ワインの香りが大好きです。

開栓する前の"セミヨン"2007年に興味深々の様子。グラスに注いだら、その芳醇な香りと美しい黄金色にこの表情(笑)。
君が人間の大人だったら、乾杯したいのだけどね。

ダンスミュージック専門のインターネットラジオ局block FMのパーソナリティをやっています。隔週の木曜日、深夜11時から1時間半の生放送、『ハイパー・ソサエティ』という番組です。
非常にカジュアルな放送姿勢で、いつもお酒を頂きつつ台本もなしで好きな音楽かけて、好きなことしゃべっております(笑)。
この日は"セミヨン"2007年を持ち込んで放送スタート。パーソナリティの相方であるi-depのナカムラヒロシ君(写真左)と、このラジオ局の局長でもあるm-floのタク君(写真右)と一緒に、ワイングラスがなかったのでプラスチック製のシャンパングラスで乾杯。タク君が、まるでシャンパンのような黄金色の"セミヨン"2007年を一口飲むやいなや、「美味い! 銘柄教えて!」と。山梨県、勝沼にあるシャトージュンのワインであることを告げるとかなりびっくりしていました!
海外勢が主体のダンスミュージックで、僕がプレイしていた曲を「この曲誰?」と聞かれた時、「実はこれ日本人の作品だよ」って答えたような感じの嬉しい気持ちになりました。

写真には写っていませんが、先日石垣島のお土産に買ってきたマグロのジャーキーをアテに頂きました。マリアージュは勿論最高でした。

昨年末に自分のレコーディングスタジオを移設しました。自分で言うのも何ですが、恐ろしく音響の良い素晴らしいスタジオに仕上がりました。住宅地の真ん中にあるのですが、完全防音を施した為、夜中でも爆音で作業ができますし、音楽も楽しめます。言わば僕の城なわけです。
今夜は韓国の某若手女性歌手の本国でのナンバーワンヒット曲のリミックス仕事が無事完成したのを祝して、夜中なのにミニマルテクノを大音量でかけつつ、"メルロ"2009年を飲んでおります。

近くの深夜営業の食材屋にゴルゴンゾーラでも買いに行くとしよう。いや、待てよ、駅前の餃子屋の餃子をテイクアウトしてもらおう…。

あぁまるで期末試験が終わったかのような幸せな気分です。とは言えまだまだ宿題は山積みなんですがね。

日本の山梨県、勝沼産のワインのポテンシャルが正直ここまでとは思いませんでした。コストパフォーマンスが本当に素晴らしかったです。今後マジで積極的にチョイスしようと思ってます。ご馳走様でした!田中 知之