シャトージュン セミヨン2012
八ヶ岳のふもと、山梨・白州町で栽培されているセミヨンを100%使用した辛口タイプのワイン。樽発酵、樽熟成で仕込んでおり、若いうちはフレッシュ感を、瓶熟成を経れば複雑な香りと味わいを楽しむことができる。香りはレモン、アプリコット、はちみつなど。果実味のなかにキレのある酸をもったワイン。葡萄の栽培責任者は山本彦仁氏。
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芽吹きの季節。春の食材を満喫したい時節の到来である。ワインと料理のマリアージュにおいて、その土地のワインと郷土料理を合わせることが王道のセオリーのひとつと言われるが、広い意味で考えれば日本のワインと和食、また国産の食材も味わいに共通項が多分にあるといえるのではないだろうか。今回紹介するのは、日本の春ならではの味、香りと山梨のワインとのマリアージュである。
舞台となるのは店を構えて2014年春で10年となる「なるきよ」。ここには、店主の出身地でもある福岡をはじめ、西日本を中心に全国から"うまいもの"が集まる。日々入荷するものも食べ頃を迎えるものもさまざまなので、約40種類程度のメニューは基本的に日替わり。同じ食材でも産地や時期が違えば味も異なってくるため、必然的に料理は"本日のお品書き"となる。今回はまさに旬を迎える春の食材、筍と空豆をワインと合わせて頂いた。カウンターにずらりと並んだ日本酒や焼酎に加え、日本のワインも数種類取り扱いがある。シャトージュンからオンリストされているのはセミヨンと甲州。シャトージュンのスタッフも春の野菜と相性抜群と太鼓判を押すセミヨンが本日の一皿のお供だ。「口当たりのよさがシャトージュンのセミヨンの魅力。料理は素材がよいのであれこれといじらず、塩でシンプルに仕上げた」という店主。筍と空豆の丸焼きのまわりには豪快に塩が広がり、木の葉味噌が添えられている。「セミヨン2012」は、果実味がありながらしっかりした酸とほろ苦さが感じられるのが特徴。春の訪れが皿の上からも伝わってくるような、見た目にもいきいきとした筍と空豆。その味がダイレクトに味覚と嗅覚に届く料理は、驚くほど「セミヨン2012」に味わいと香りがマッチする。
店主の吉田成清さん(1)。器はすべてオリジナル。5名ほどの作家に依頼して作成してもらっているそう(2)。店のトレードマークが浮かびあがるユニークな醤油皿(3)。
シンプルながら、部位によって味と食感が異なる筍を楽しみ尽くす心遣いがされているのもこの料理のポイント。柔らかく自然な甘みのある穂先は塩で、繊維質が多くしっかりした食感の根元は、ほのかなえぐみもおいしく食べられるよう木の葉味噌とともに。2通りの味わいで筍を楽しんだ後は、お好みでどうぞ、という按配。さらにそこに酒との相性が加われば、旬の食材の魅力がさまざまな角度から堪能できるはずだ。ことに八ヶ岳のふもとで育った葡萄を使い、樽発酵と樽熟成で奥行きを増した「セミヨン2012」なら、青さ、苦味、えぐみ、クセといった複雑な味わいの要素を楽しんできた日本人ならではの味覚にぴったり寄り添うようなマリアージュを叶えてくれるに違いない。
立ち飲みスペースを抜けると6卓の座敷席。ぐっと趣きが変わって落ち着いた雰囲気だ(4)。店の奥には4名まで入れる個室がひと部屋(5)。
ところで、筍と空豆が盛られた皿をよく見ると、無数のがいこつが描かれているのがお分かりだろうか? 「料理は技法云々より、素材と"色気"」という店主。次々と到着する旬の食材の味をダイレクトに伝える料理、器や季節折々の木、花などが作り出す"色気"ある場の雰囲気が「なるきよ」の魅力だ。舌はもちろん、目に鼻に耳に……。五感のみならず、遊び心いっぱいの店内は脳みそまでもがフル稼働するような場所。閉じられた場所ではなく、「広く誰にでも訪れてほしい」という店主の言葉通り、立ち飲みのカウンターから座敷、個室までを備え、人数や気分に合わせてふらりと立ち寄れる空間だ。そして、行けばいちばんおいしい時期を迎えた日本の食材が存分に味わえる。そんな「なるきよ」で飲む日本生まれのワイン。シャトージュンの新しい魅力が見つかること請け合いである。
「筍と空豆の丸焼き」(時価/¥3,500~。時期によって価格は変わる)、
「シャトージュン セミヨン2012」(ボトル¥5,800、グラス¥800)
DATA
なるきよ
東京都渋谷区渋谷2-7-14 中村ビルB1F
電話 03-5485-2223
営業時間 18:30~24:30
不定休