FEATURE

マリアージュを楽しむ

第九回シャトージュンとマリアージュするひと皿 居残り 連 の「沖縄・石垣牛ハンバーグ」×「シャトージュンメルロ2011」のマリアージュ

シャトージュン メルロ2011
標高450mの場所に位置する、山梨・勝沼町菱山地区の自社農場で栽培したメルロをメインに使用。アメリカンオークとロシアンオークを使い、12ヶ月の樽熟成を行ったワイン。いちごやフランボワーズなど赤いフルーツを思わせる甘くチャーミングな香りが特徴的。なめらかな酸と穏やかなタンニンが感じられ、食中酒として楽しみたい1本。ブレンドの比率はメルロ85%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。(写真のヴィンテージは2008です)

東海道五十三次の宿場のひとつ、品川宿。古民家が残り、目前の品川浦には屋台船が浮かんで……と、江戸の風情を残すエリアの一角に店舗を構える「居残り 連」。存在感のある木造の建物はかつて、古典落語の名作「居残り佐平次」に登場する鰻の名店「荒木家」だったという。江戸の下町の情緒を今に伝える建物のなかで頂けるのは、こだわりの食材で作る創作料理と国産ワイン。本日は「シャトージュン メルロ2011」とマリアージュする一皿を紹介してもらおう。

なんと「居残り 連」の建物には、日本固有の白ぶどう品種・甲州が巻き付いている。「いつか自分でもワインを作ってみたいですね」という店長の植島 誠さんはしばしば国内のワイナリーを訪問しているそうで、山梨にあるシャトージュンのワイナリーも訪れたことがあるそう。店にオンリストされているワインはほぼ国産。なかでも勝沼産が充実している。「開店当時はあまりワインに詳しくなかったので、まずは自分でもワイナリーを訪問して作り手の顔が見えるワインを飲もうと国産ワインから揃え始めたんです」。結果、和をベースとした「居残り 連」の料理と相性がよい国産ワインと多くの出合いがあり、グラスからボトルまで豊富に国産ワインが揃う店となった。シャトージュンのワインは、メルロとセミヨンがオンリストされている(今後甲州も入荷予定)。今回は、植島さんが太鼓判を押すメルロとマリアージュするメニューを紹介してもらった。


店長の植島 誠さん。カウンターの奥で、一人料理を担当する。
ワイン好きのお客様も多く、毎年秋には勝沼への
ワイナリーツアーを企画しているそう。

メルロに「居残り 連」が推すのは、沖縄・石垣牛のハンバーグ。「このメルロは雑味がなくフレッシュ。変なクセがないのも好みですね。重すぎないミディアムボディなので、石垣牛で作ったハンバーグにこそぴったりとマッチするんです」と植島さん。沖縄で卸を営む知人からよい状態で仕入れているという石垣牛を100%使用したハンバーグは、旨みたっぷりなのに驚くほどフレッシュだ。「肉自体に味わいが感じられるのが石垣牛。旨みがあるので、味付けは塩と胡椒で充分なくらい。反面、ボリュームたっぷりに見えて、脂がしつこくないのでさらっと食べられます。がつっとしたステーキのようにこってりしているわけでなく、さっぱりしすぎているわけでもなく……非常にバランスのよい味わいの肉なんです」。旨みや果実味は豊かでありながら、穏やかなタンニンとエレガントな酸をもつ「シャトージュン メルロ」とまさにボン・マリアージュ。じんわりと染み入るようなぶどうの旨みと、フレッシュで驚くほど柔らかな食感をもつハンバーグは、ひと口めから納得の相性を見せてくれる。新玉ねぎと醤油で作ったあっさりとしたソースとも好相性だ。「ワインの温度が上がると香りが立ってまろやかな味わいになってきますので、抜栓してから気持ち時間を置いてから楽しんでいただきたいですね」。


店の外に巻き付いている甲州の木(1)。最近芽吹いた、小さな甲州も(2)。
かつて居住スペースだったという2階を、内装はほぼそのままにしてテーブル席に(3)。1階のカウンター席はひとりで訪れるのにぴったり(4)。

石垣牛のほか魚介は毎日築地から、野菜もできるだけ新鮮なものを、と食材のセレクトにもこだわりが光る「居残り 連」。植島さんが一人で担当する料理は、和をベースに洋のエッセンスを取り入れた創作メニュー。 「食べ歩きや本などで出合って、"自分でも作ってみたい"と思ったものを形にしています。元々和食を修業しており、洋食の世界にいたことがないので逆に自由なメニューをご提案しています」。その日入荷した鮮魚のカルパッチョから砂肝のコンフィ、リゾット、パスタなどバラエティ豊かなメニューが並び、冬はふぐ鍋なども提供しているという。「一人でも気軽に飲んで食べれて、お酒も料理もちゃんとおいしくて満足感があって……というお店でありたいですね」。その言葉通り、1/2サイズの料理やグラスワインが充実しているのも特色。ボトルワインのリストのなかから、デキャンタを希望というオーダーにも相談次第で対応してくれるという。1階のカウンター、「荒木家」時代には居住スペースだったという2階のひろびろしたテーブル席と、人数やメンバーに応じて活用できる楽しい"酒場"。江戸の風情と国産ワインのおいしさを堪能しに、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

「沖縄・石垣牛 ハンバーグ」(¥1,800。日替わりランチの一品として¥1,200で登場することも)、「シャトージュン メルロ2011」(グラス¥950、ボトル¥5,500)

居残り 連

旧東海道、品川宿に上がる坂道の入り口に佇む風情たっぷりの建物が目印。古典落語の大ネタ「居残り佐平次」にも登場する鰻の名店・「荒井家」の跡にオープンした酒場だ。魚介類は築地から毎日仕入れているほか、肉や野菜などそのほかの食材にもこだわりが光る。品川宿に息づく和のテイストをベースに、洋の要素を散りばめたオリジナルの料理が揃い、ドリンクは勝沼産をはじめとして国産ワインを多くオンリスト。そのほか、ビールや焼酎、カクテルもラインナップ。1階にカウンター7席、2階にテーブル30席を備え、ひとりでも多人数でも思い思いに楽しむことができる。

DATA 居残り 連
東京都品川区北品川1-22-4
電話 03-3450-5660
営業時間
11:30~14:00、17:00~23:00(金曜は~24:00)、
17:00~22:00(土曜)
定休日 日曜
http://www.ren-shinagawa.com/inokori/ino_top.html